新宿ピットイン

いつもの夢想

新宿の夜、地下の小さなライブ小屋では、サックスがいつもの夢を吹いていた。グラスの氷が鳴り、煙草の煙の向こうで、君が笑ったような気がした。明日のことなど考えず、僕らは音楽に身を預けていたんだ。ピアノがひとつ和音を落とすたび、見知らぬ街へ旅をする。いつか大人になっても、こんな夜があればいい。そんな夢想を、あの頃の僕は、ずっと繰り返していた。

アートシアターで

新宿の街は、いつだって何かが始まる前のような顔をしていた。アートシアターの暗闇に身を沈めると、スクリーンの向こうから、まだ名前のない時代がやって来た。映画なのか、芝居なのか、夢なのか。隣に座った君は、何も言わずに笑っていた。外へ出れば、ネオンの雨。僕らは世界を変えられると、本気で信じていたんだ。あの夜の続きを、今もどこかで探している。

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